オンプレミスインフラは今「再発明の時代」へ──フラッシュ化・生成AI・自動化がもたらす最新トレンド3選

オンプレミスインフラが「転換期」を迎える ─ フラッシュ化・生成AI・自動化が企業ITの中心テーマに

近年、オンプレミスインフラの進化は急速に加速しており、SSDをはじめとするフラッシュストレージ、生成AI、そして運用自動化といった要素は、もはや一部の専門家だけの領域ではありません。いまや、ほぼすべての企業のIT部門が避けて通れない「目の前の課題」となりつつあります。

技術以上に重要なのは「自社にどう取り込むか」

IT担当者が向き合うべきポイントは、技術そのものの理解だけではなく、それを自社の環境にどう組み込み、業務改善につなげるかという視点です。 Pure Storageが開催した年次イベント「Pure//Accelerate 2025」では、オンプレミスインフラにおける“選択と集中”のヒントが数多く提示されました。ここでは、ストレージを軸に3つの重要なポイントをまとめます。

1．フラッシュストレージ価格の下落で、HDDは転換点に

Pure Storage創業者で最高ビジョナリー責任者のジョン・コルグローブ氏は、 300TBの容量を誇るフラッシュストレージモジュール「DirectFlash」を披露し、将来的には600TB超の容量を見据えていると語りました。

DirectFlashはNVMeをベースにした次世代フラッシュモジュールで、従来のSSDを置き換える存在です。同社の「FlashArray」「FlashBlade」など主要製品群を支える独自技術として開発されています。

注目すべきは、オールフラッシュストレージ領域で「容量単価の低下」と「記録密度向上」が止まらない点です。

バックアップやアーカイブ用途でも、高速な読み書き性能や予測可能な応答性が求められるようになり、 AIプロジェクトの増加、災害復旧、ランサムウェア対策などの背景から、フラッシュストレージの必要性はますます高まっています。

これにより、「重要アプリはフラッシュ、それ以外はHDD」という従来の固定観念は揺らいでいます。複数階層のフラッシュ構成を活用することで、HDDより高いコスト効率を得られる可能性さえ出てきています。

2．IT運用に生成AIを導入するなら、まさに“今”がベストタイミング

今回のイベントでは、前回発表された自然言語対応の管理支援ツール「AI Copilot」のデモも実施されました。 AI Copilotを使えば、ストレージの安全性評価、パフォーマンスや容量の状態、電力管理などを、専門知識なしでも自然言語で操作できます。

Pure Storage以外にも、多くのベンダーがインフラ向けAI支援ツールの開発を進めています。生成AIは非常に強力な技術である一方、まだ発展途上でもあり、 Pure Storageは現実的に実装可能な機能の検証を積極的に進めていると見られます。

まずはリスクの低い最適化提案などから始め、従来手法で検証しつつAIの有効性を評価し、最終的に自社のIT運用への正式な組み込みを検討する段階へ進むのが現実的です。

3．オンプレ運用の「簡素化」は今こそ変革のチャンス

Pure Accelerateの中心テーマは、同社が推進する「Enterprise Data Cloud（EDC）」でした。複数ストレージアレイの集中管理や自動化を担う「Pure1」「Pure Fusion」は、インテリジェントなコントロールプレーンを構築するための基盤となります。

ただし、管理の簡素化はPure Storageだけの取り組みではありません。インフラベンダー各社が、集中管理・自動化によってIT管理者の作業負荷を減らす技術を次々とリリースしています。その背景には、AIプロジェクトを強化したい企業が、定型業務から人材を解放する必要性があるためです。

IT部門の意思決定者にとって今は、ビジネスプロセスや組織体制も含めて社内の運用方針を見直す絶好の機会と言えます。特に重要なのは、ベンダーに対し以下のような具体的質問を投げかけることです。

どの作業が効率化されるのか
不要になる工程はどれか
どの程度のコスト削減効果が期待できるのか
成果の評価に必要なデータが提供されるか

オンプレミスインフラの領域では今、これまでにないスピードで革新が進んでいます。 IT担当者は、自社が契約しているベンダーから最大限の価値を引き出せるよう、準備を整えておくことが求められています。