AI偽音声でトランプ大統領を装う動画が拡散 ─ エプスタイン文書めぐり偽情報が急増
トランプ大統領を装った「AI偽音声」が拡散中 ─ 監視団体が警告
AFP＝時事によると、ドナルド・トランプ米大統領が政府高官を怒鳴りつけ、 ジェフリー・エプスタイン元被告の関連文書の公開を阻止したがっているかのように 偽装されたAI音声が、左派系のSNSユーザーによって広く拡散されていることが分かりました。 偽情報を監視する団体が21日に指摘したものです。
エプスタイン文書をめぐる政治的緊張が背景に
ここ数週間、いわゆる「エプスタイン文書」をめぐる注目が急激に高まり、 米国政治の大きな火種となっています。議会とトランプ大統領の対立も深まりつつあり、 国民の関心は日増しに強まっています。
トランプ氏はかつて、少女らへの性的人身取引の罪で起訴され勾留中に自殺した富豪、 ジェフリー・エプスタインの友人だったことでも知られています。
「文書は公開しない」などと語る偽音声が数百万回再生
拡散された動画では、トランプ氏の声に似せた合成音声が 「エプスタイン文書は公開しない」「もし私が倒れるなら皆を道連れにする」 といった発言をしており、投稿者はこれを「大統領が閣僚に怒号している場面」だと 誤って説明しています。
この音声はインスタグラムやTikTokで数百万回再生され、 数千件のコメントが寄せられるほど拡散しました。
ニュースガード「AI生成の偽物」 ─ Sora使用の痕跡も
偽情報監視団体「ニュースガード」は、この音声を 「AIが生成した偽物」だと断定。最初の投稿者はリベラル系TikTokユーザーで、 OpenAIの動画生成モデル「Sora」で作られた可能性があると指摘しています。
その後、この偽音声はSoraの透かしが取り除かれた複数の動画に転載され、 AI生成であることが分かりにくい状態になったといいます。
極端な分極化が深刻化する米国 ─ 双方で偽情報が増殖
今回の事例は、米国が極度に政治的分断を抱える中で、 左派・右派を問わず偽情報が広がっている現状を浮き彫りにしています。 規制が緩むSNSでは偽情報が混乱を招き、一般ユーザーが事実と虚構を 見極めることが難しくなっています。
トランプ氏は公開方針に転換、関連法案にも署名
トランプ氏はここ数か月、文書公開に抵抗する姿勢を見せていました。 しかし今週になって方針を転換し、関連法案が議会を通過するよう後押し。 19日には、政府文書の公開を義務付ける法案に自ら署名しています。
「黒塗り」や手続きの遅延で事実が隠される可能性も
一方で内部関係者は、大統領が署名したとしても、 政権側が黒塗り処理（レダクション）や手続き上の遅延、 継続中の連邦捜査を理由に、衝撃的な事実が公表されない可能性があると警告しています。